独自の技術革新
3D-Geneには大きく4つの特徴がある。
まずバックグラウンドを下げるため、独自素材を使った「黒色樹脂製基板」の利用が挙げられる。ガラス基板をはじめとする従来の基板では微量に含まれる蛍光物質のため、励起光としてレーザーを照射すると自家蛍光を発し、これがS/N比を低くする原因の1つになっていた。同社は独自に開発した樹脂で自家蛍光を抑え、バックグラウンドを低減させることに成功している。
次に挙げられるのが、この製品名に3Dが冠される理由にもなっている、表面加工技術だ。一般的な基板の表面は平坦に加工されているが、3D-Geneは表面に凹凸加工がなされている。直径、高さともに数十から数百μmの凸凹構造の上端部にプローブが固定されているため、他の基板を用いる時に比べて安定した大きさのスポットを実現した。さらに、上端部にプローブを均一に固定するための技術を開発し、これらの技術革新によって均一な検出画像が得られるようになっている。
もう1点のユニークな技術がビーズによる反応槽の撹拌だ。プローブとターゲットのハイブリダイズを促進する上で、反応時に撹拌することは有効な手段となりうる。この過程の効率を高めるために、3D-Geneではマイクロビーズを利用した溶液の撹拌を行う。上述の通り、表面には凹凸が存在しており、ビーズは凹の部分を転がることで溶液を混ぜる。プローブは凸の上端部に位置するため、傷がつく恐れもない。この操作によって、検出される遺伝子数が1割ほど上がることが観察されている(参照)。
以上の技術を組み合わせたこの製品は、他社の製品と比べてS/N比が100倍程度にまで改善されていると同社研究員の近藤氏はいう。
では、現場レベルでの使用感はどうなのか、同社の受託サービスを利用する国立感染病研究所でC型肝炎ウイルスの研究を行う鈴木哲朗氏にお話を伺った。
国立感染症研究所ウイルス第二部の研究グループと鈴木哲朗氏(右端)。
3D-GeneはC型肝炎ウイルス研究にどのように活用されていますか。
我々のチームでは感染のメカニズム、及び感染後の肝疾患へと移行過程の解明を研究テーマの1つにおいており、その中で3D-Geneを利用させてもらっています。
ウイルス感染によって引き起こされる病態、あるいは細胞の環境かく乱を調べるきっかけを得るため、細胞内でC型肝炎ウイルスのタンパク質 を発現させたり、直接ウイルスを感染させて、その前後の宿主における遺伝子発現を比較しました。細胞にウイルスを感染させた後にタイムコース を取って遺伝子発現やmiRNA発現の変動を調査しています。その他、細胞の病態だけではなく、感染によって起こった遺伝子の変化がウイルスの ライフサイクルにフィードバックされるものがあるのではないかと考えているので、その変化もマイクロアレイで調べられればと思って解析をしてい ます。
検出感度が高いとのことですが、実際いかがでしたか。
現在はデータの解析中なので詳細は申し上げられませんが、検出感度は非常に高いと感じました。マイクロアレイ自体の技術が全体的に向上しているので一概には言えませんが、以前別の会社のアレイを使ってデータを取った時と比べて、RT-PCRのデータと比較した時の再現性は、3D-Geneの方が高いという結果が得られつつあります。また、リアルタイムPCRの結果と比較をしてみたところ、定量性はリアルタイムPCRの方が高かったですが、遺伝子発現の挙動に関しては基本的に同じ変動パターンを得ることができました。また、東レの3D-Geneを利用した場合にはアフターサポートがしっかりしており、データが出た後にオプシィン開発をしてくれるなどの付加的なメリットもあります。定量性がさらに上がれば、個人的には大歓迎ですね。これからますます利便性が上がることに期待しています。

























